助産師学校で求められるちから
- みあれ@Academy
- 2023年7月12日
- 読了時間: 4分
更新日:2024年3月31日

助産師学校で求められる能力の一つに「臨床推論」というものがあります。
今日はそれについて少しお話ししようと思います。
臨床推論は、助産師学校入学後に鍛えられていく力でもあるし、現在、助産教育の中で最も注目されている能力の一つでもあるので、
入試の段階でその力の芽があるかどうかも見られていると思います。
たぶん、助産の専攻科入試でアセスメントの論述が出るのなんてほとんどこれのためと言っても過言ではないと思います。
わかんないですけど。
で、その臨床推論というのがどのようなものかご説明するためにいくつか資料をあたってみたのですが、正直これといってハッキリと定義がひとことで書かれているものには出会えませんでした。
そこで、私が学生のときに教えていただいたことを共有しようと思います。
M1のかなり早い段階でした。
ある講義で、小テストがあったんです。
先生からは事前に「次回の講義では、骨盤について小テストをするので準備をしておいてください。」とだけ伝えられていて、実際のテスト問題は下記の画像のようなものでした。
骨盤を頭側から見た断面図が何枚か並べられていて、それぞれがどの平面かを答えるというもの。

いま「病気がみえる」等の参考書を見てみると、このような図の資料は出てきますし、すでに習得済みのひとが見るとなんて事のない問題なのですが、当時のわたしたちは大変面食らいました。

それまでの講義では、Guthmann法(横から撮影)の断面図の資料はもらっていて、どの学生も、産科的真結合線と解剖学的真結合線の違いとか、入口部、滑部、狭部、出口部、などの用語等は勉強していたのですが、頭側からの平面の画像で問われるとは誰も予想していなかったんですよね。しかも、それぞれの径のサイズが書いてあるわけでもない。(赤ペンは解説後に書き足しました)
それに、入学したばかりなので、De LeeのStationと骨産道平面の区別や対応もできていないのでなんと書いていいのか本当に困った。

とりあえず、1枚目が入口面、2枚目が出口部なのは分かったので、問題は3と4がどちらが先かが分かれば滑部、狭部をの順に書けば大丈夫、と考えました。結局、仕方がないので仙骨の関節の数を数えてどっちが先かを考えて書きました。
小テストの答え合わせのあと、先生から「この問題を見たとき、どのようなことを思いましたか?そして、どのように考えて答えを導きましたか?」と質問されました。
私は上記のようなことをそのまま答えたのですが、その瞬間、先生はニッコニコ😁の笑顔で大笑い😁
「わたしは今日、皆さんにこの課題を出して良かったと思います。わたしが狙った通りの反応をしてくれました😁」
いま思うと多分、先生は初めからこの小テストをするために、事前の講義では平面の資料を渡していなかったんですよね。(そして私たちも講義で配られたもの以外の資料で勉強しようとするほどの勤勉さがなかった)
結局、このとき先生が期待したのは、自分の知らない事象に出会ったときでも、限られた(しかし正確な)知識をもとに、推測して判断していく、という体験をさせることだったようでした。
このプロセスがつまり、臨床推論なのだと思います。
A=Cということを教わっていなくても、A=BとB=Cという知識があればA=Cであるということがわかる。これが推論。
助産に限らず、臨床では必ず、自分の知識や能力を超える事象には遭遇します。
そういう場面でも、自分の手元にある知識と、客観的データをもとに問題解決はしていかなくてはならない。
急変している患者さんを目の前にして、こんなの習ってませんけど!?(╬ʘдʘ)とかブチ切れていても仕方ないですしね。
そういう場面で必要なのが臨床推論です。
そこまで難しい場面でなくても、例えば「Aさんの妊娠24週のHb:9.5」と「妊娠中の貧血は胎児の発育遅延のリスク因子である」という情報を知っていたら「Aさんの胎児は発育遅延の可能性がある」⇨「AさんのFBWを確認する必要がある」と考えられますよね。
結局のところ、知識と知識をつなげて使う力のことをいうのではないかと思います。
助産師学校の入試でも知識問題のみの場合は、貧血の基準値や各週数でのFBWを知っていれば答えられるのですが、アセスメントを論述する形式の場合は、それぞれの情報をつなげて解釈する力が求められます。
私のアセスメント添削コースで心がけているのは、この力のトレーニングです。
客観的な問題集を解くだけではなかなか身につかない力なんですよね。
そして習得にはある程度時間がかかります。
普段の実習でのアセスメントや、日々の業務の看護記録などの際に、少し心がけてみると良いかもしれません。
あせらずじっくり、力をつけていきましょう😀
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